新型コロナウイルスの感染の拡大もあって、家でローラーを回して運動をしている人も増えているのではないでしょうか。
在宅ワークで通勤がなくなったりすると、ダイエットのためにも何とかして運動を継続するのは切実な問題です。
最近の室内自転車トレーニングと言ったら、zwiftですよね。
それまでパワーメーターを使ったことがなかった人で、zwiftで初めて自分のパワーを見ることになったという人も多いのではないでしょうか。
ネット上で、いろんな情報を集めたり、普段一緒に走っている人のZwiftのデータを見て、自分の出せるパワーへの期待に胸を膨らませてZwiftしてみたら、想像してたのに比べて全然パワーが出せないorz。。。
また、それまで、実走でパワーメーターを使っていた人も、室内でローラーでやってみたところ、実走に比べて全然出力が上がらないということも。
私も、パワーに興味をもった最初の頃がそうだったので、よくわかります。
なぜそうなるのか、ここでは、ローラー台と出力(パワー)の関係をまとめてみました。
Zwiftに出力を送る方法3つ
Zwiftは、各自が出している出力と登録されている体重をもとに、仮想世界でのアバターが自転車で走る速度をコントロールしています。
そのために、各自が出している出力をZwiftに送る必要があるのすが、それには3つの方式があります。
- 自転車についているパワーメーターの情報をPCやスマホ等を経由してzwiftに送る
- ローラー台にパワーメーターがついていて、その情報をPCやスマホ等を経由してzwiftに送る。
- パワーメーターはないが、ローラー台の負荷と後輪の回るスピードから出力を推定する(通称zPower)
zPower(通称)は参考値
パワーメーターやスマートローラー1ローラー台でパワーを測れて、Zwiftの斜度などに応じて負荷を自動で変えてくれるローラー台は高額なので、誰でも参加できるようにと、安価な一般的ローラー台でもZwiftに参加できるように、用意されているのがzPower(通称)です。
Zwiftが対応しているローラー台は↓のCLASSIC TRAINERSをご覧ください。
Zwift社では、数多くのローラー台に対して、特定の負荷の時のスピードと出力の関係を示すパワーカーブを作成しました。特に加速時の時のパワーカーブまでデータを取ったのがzPower、普通にスピードと出力の関係を取ったのがバーチャルパワーと定義されています。
しかし、Zwift民の間では、この両方を合わせてzPowerということが多いのでここでは(通称)を付けています。
正しくzPower(通称)を得るための条件
正しくzPower(通称)を得るためには、次の注意点を守る必要があります
- しっかり空気を入れる(100 PSI)
- タイヤサイズは700c x 23mm.
- タイヤを押し付ける強さをメーカーの指定通りにする
- zwift指定の負荷を用いる
しかし、最近では23cのタイヤを履いている自転車は少ないですし、ローラーするたびにきちんと空気を入れる人がどれほどいるでしょうか。
また、最も難しいのが3で、ローラー台のメーカー指定では、「タイヤが1cmへこむ程度」などと記載されていて、再現性を取るのが大変難しくなっています。
私はパワーメーターを買う前は固定ローラーの負荷とスピードから出力を推定するソフトを使っていたのですが、その時も、タイヤの空気圧、タイヤを押し付ける強度などで、出力が結構振れることがわかっていました。
なので、zPower(通称)でzwiftをやる場合は、正しいパワーが測れているとは考えず、なるべく設定条件1~4を守りつつ、他人とは比較しないで、自分の力が上がっているかなどの確認に用いるのが良いと思われます。
zwiftのレースではzPowerの人は参加できなかったり、リザルトから外されたりすることがありますので注意が必要です。
固定ローラーではパワーが出ない
実走メインの人が初めて固定ローラーを使うと、出力が全然でなくてびっくりすると思います。
これは、固定ローラーが、後輪のハブでフレームをがっちり固定しているからです。
普段、外で走っているときは、自転車はペダリングに合わせて自然に左右に振れています。
頭が全く揺れない美しいペダリングの人でも、必ず自転車は左右に振れています。
ペダリングというのは、実は、体重をペダルの回転に変換するという運動です。
実走でしっかりパワーがかかる人は、上に来たペダルに体重を乗せ、そのままにしておくと力がかかった側が下がるので、力がかかる側をわずかに上に向けて、効率よくペダルに全ての力を加えているのです。
一方、ローラー台では自転車を傾けることができないので、実走と同じペダリングでは、ペダルにしっかりと力が伝えられないです。
人によって違うと思いますが、私は固定ローラーでは1~2割くらい、低い出力しか出せません。
なお、固定ローラーで長く練習をしていると、自転車を振らなくても出力が出るようになってきます。
これは、角度の変わらないペダルに対して、まっすぐに体重を乗せていく技術が身についたと考えられます。
このほか、固定ローラーならではの、後輪の固定固定力を活かしてパワーをひねり出すペダリングを身に着けてしまうことがあります。もちろん実走では後輪は固定されいてないので、この漕ぎ方では力が逃げて、出力は上がりません。
私は固定ローラーで頑張っていた時はどうも実走では同じように踏めなかったという経験がありますが、これは固定ローラーと実走の比率や、本人のセンス・スキルでだいぶ違うかもしれません。
初めてのFTP測定では実力を出し切れない
Zwiftでは、レースに参加したり、ワークアウトのメニューをこなしたりするために、FTP(1時間めいっぱい頑張ったときに出せる平均出力)を測定することが推奨されています。
FTP測定には、1時間タイムトライアルをするという方法もありますが、これはあまりにも過酷なので、Zwiftには3つのFTPテストのメニューが用意されています。
一般的には、20分のベスト出力を測るのですが、この20分をきっちり出し切るのは、初めての人は絶対に無理と言っても過言ではありません。
突っ込みすぎて20分もたないか、余裕を持って入りすぎて、20分で出しきれないかのどっちかだと思います。
3つ目のLAMPテストも、もう絶対無理というところまで追い込めるのは、相当な上級者ですよね。。
ということで、FTPを測定したとしても、初心者は真のFTPは計測できないと思った方が良いと思います。
それでも何らかの指標は必要なので、一旦はそれでFTPを決めておいて、メニューをこなす中で、メニューが楽すぎると思えばFTP値を上げ、きつすぎると思えばFTP値を下げるという方向で調整するのが良いと思います。
パワーは体重に比例する
「固定ローラーではパワーが出ない」にも書きましたが、ペダリングは体重をペダルの回転に変換する運動です。
ということは、同じ体重でも、それをうまくペダルの回転に変換するための筋力と技術がある人の方がパワーは出ますが、体重が重ければ、筋力と技術が無くてもパワーが出ます。
実走においては、平地・向かい風では体重に関係なくパワーがある方が速く、上りはパワーウエイトレシオが高い方が速く(パワー÷体重:パワーが大きく体重が軽いほうが有利)、下りは体重がある方が速いです。
体重が軽い人(特に女性)は絶対的なパワーが出なくてもある程度は仕方がないとあきらめましょう。
自然なペダリングができるローラー台
一般的なスマートローラーや固定ローラーでは自転車が自然に振れないので、実走と同じようなペダリングをするのが難しいのは上に書いたとおりです。
このためにお勧めしたいのは、グロータックの①GT Roller Fシリーズ、②GT Roller Qシリーズです。
どちらも駆動輪である後輪がローラーの上をフリーに走るので、ペダリングにムラがあると、ローラーの回り方にムラが出てすごく気になり、スムーズなペダリングが出来るようになります。
Fシリーズ、Qシリーズとも、最新のものは、オプションで電子負荷ユニットを足すことによって、Zwiftで、スピードや斜度を考慮した負荷を再現してくれます。
グロータックは日本の会社なので、日本の住宅事情がよくわかっていて、コンパクトにたためる、音が静かといった点にものすごく配慮した製品を作ってくれます。また、万が一壊れた時の、修理の相談も安心です。
GT Roller Fシリーズ
Fシリーズは、前輪を外してフロントフォークで自転車を固定。後輪はローラーの上で自重で回る設計となっています。前輪を固定する部分が絶妙に揺れるし、後輪はフリーなので、自然に自転車を振ることができます。
私も使っていますが、前のフォークが固定されているので、ローラーから落ちるなどのリスクもなく、音も静かで、非常に快適にローラー練が出来ます。
GT Roller Qシリーズ
Qシリーズは、通称「4本ローラー」と呼ばれています。
前後2本のローラーの上で固定しない自転車を走らせるため、より実走に近いバランスや体幹の使い方ができます。
類似のローラーとして「3本ローラー」というものが昔からありましたが、これは、前1本、後ろ2本のローラーの上で固定しない自転車を走らせるものです。
3本ローラーは最初はまるで氷の上で自転車に乗っているような感じで、うまくバランスを取って乗るのが難しく、ダンシング(立ち漕ぎ)などもなかなかのスキルが要求されます。
3本ローラーで限界までもがくと落車(ローラー台から落ちる)危険性もあります。
また、3本ローラーでは、後輪加重の方が安定するので、重心が後ろになる癖がつきがちです。
一方4本ローラーは、前のローラーが2本になり、前のローラー、後ろのローラーが絶妙に動くことで、自転車の安定感が増し、氷の上ではなく、しっかりとした地面の上で普通に自転車に乗っているような感覚です。
ゆっくりでも、もがいても、ダンシングでも、安心して練習することができますが、完全に気を抜くともちろんローラーから落ちるので、ある程度の緊張感と体幹のトレーニングにもなります。
さらに、前を持ち上げることでヒルクライムの練習をすることが出来たり、オプションで、バーチャルコースに合わせて前を持ち上げる機能を導入できるなど、実走感ではぴか一と思います。
Saris 「MP1」
これは試乗もしたことがないので、どれくらい実走感があるのかはわかりませんが、基本的には前後左右に揺れる台。
この上に好みのローラー台を乗せて、固定ローラーのデメリットを解消してしまおうというもの。
アイデア自体はとてもいいと思います。
ただ、大きくて重いというのが、日本の家庭の事情にはマッチしていないような気がします。
音や耐久性も不明。
まだ使っている人があまりいなさそうなので、勇者の挑戦が待たれるところです。
まとめ
Zwiftで初めて自分のパワーを確認したり、FTP測定をしてみて、「うわっ…私のパワー低すぎ…?」と思った人も、実はそれは真の実力じゃないかも。
乗っているうちに、すぐにパワーが出るようになってきますが、実はそれは実力が付いたのではなく、ただ、ローラーでパワーを出すことに慣れただけかもしれません。
このままパワーが伸びていけば、あっという間にプロ選手並みになれるかも!と思っても、割と早いうちにパワーの伸びが止まります。
パワトレに目覚めた人はここからが勝負です。正しく頑張っていれば必ず伸びます!
頑張ってください!!!
ダイエット目的の人は目を三角にして頑張らないで、楽ではないけどちょっと辛いくらいの範囲でゆるく頑張りましょう♪
時間はかかるけど、これまた、必ず出せるパワーが伸びます。