運動なし、食事制限だけでダイエットできるか

低カロリーで栄養が考えている病院食 食事/栄養
低カロリーで栄養が考えられている病院食

以前、「食事制限無し、自転車だけでダイエットできるか?」という記事を書いたのですが、逆に、
ダイエットしたいなと思っても、運動するのは辛い。運動は嫌い
食べるものを変えるだけでダイエットしたい
そう思う人も多いのでは?

よくわかります!
私はもともと運動が嫌いで、過去いろいろなダイエットに挑戦しては失敗しています。
過去失敗したダイエットの全てが、食べ物をどうにかするだけでダイエットしようというもの。

食べ物だけで何とかしようとするダイエットは、どれも短期的な効果があり、最初の1週間で2~3kg減って、この調子で行けば5kgなんてあっという間に落とせる!と思ってもそこから先の2kgがなかなか減らないんですよね。
(そして、しばらくすると戻っちゃったりして。。。)

ここでは、なぜ食べるものを変えるだけでダイエットすると失敗しがちなのか、食べ物を変えるだけのダイエットをしてもいい人はどんな人なのか解説してみたいと思います。

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最もダメなパターン:「普段の生活はそのままで○○を飲む/食べるだけで痩せる!」と書かれているものを使う。

消費者庁が厳しく指導しているおかげで最近は「普段の生活はそのままで○○を飲む/食べるだけで痩せる!」と堂々と宣伝している健康食品やお茶は見なくなりました。食べた脂をそのまま排泄するとか、カロリーの吸収を阻害するとか、脂肪を燃焼させるなどと謳っている何かの食品を使うだけで、他の生活を変えず、目に見えるほどの効果がでることはありません。それは例えトクホの食品であっても。

万が一、食べたり飲んだりするだけで目に見えるほど体重が減るなら、それは「毒」なので、絶対にやめた方がいいです。※過去にはダイエットの健康食品での死亡事例もあります

食事制限の最初の1週間で体重が落ちるメカニズム

さすがに、普段の生活そのままで何か食べたり飲んだりするだけで痩せたりはしないだろうというのは理解できる。
でも、ダイエットの基本は「摂取カロリー<消費カロリー」なので、運動しないで消費カロリーはそのままでも、摂取エネルギーを減らせばよいのでは?
そう思う人は私だけではないはず。

はじめに書いたように、もちろん、どの食事制限のダイエットでも、たいてい最初の1週間で2~3kg位は体重を減らすことができます

食事制限でダイエットをしようとするとき、一番減らしやすいのはおやつと主食のご飯ではないでしょうか。
1日3杯食べていたご飯を抜くだけで、1日600kcal位摂取カロリーを減らせます。
加えて、おやつを200kcal食べていたとして、これをやめると、併せて800kcal。
脂肪は1kgあたり7,000kcalなので、これだけで10日で1kg以上の脂肪を落とせる計算です。

そして、食事を減らし始めると、最初の5日位で確かに1kg以上、もしかすると2~3kgの想定より早いペースで体重が減ります。
このペースで体重が減ったら、1カ月で10kg位簡単にダイエットできる!
ましてや、後2kgなんて楽勝♪

。。。私はこの罠に何度陥ったことか。
この後パタッと体重は減らなくなり、停滞期か?とさらに摂取カロリーを減らしたりして。
でも、全然痩せないばかりか、だんだん元気がなくなり、肌や爪の生気がなくなり、まさに生きるエネルギーが減少していく感じに。。。

最初に減るのはグリコーゲン+水

ここで最初に体重が減るのは、おやつやご飯=炭水化物(糖質)を減らしたからです。
脂肪が減ったわけではなく、体内のグリコーゲン(糖の一種)が減ったことによります

グリコーゲンとは

人間の身体を動かすエネルギーには、素早く使える糖質と、たくさん貯蔵出来てゆっくり燃やす脂肪があります。糖質はグリコーゲンという形で肝臓や筋肉に貯蔵されています。グリコーゲンは男性の場合、肝臓で90~100g、筋肉に100~400g貯蔵されていると言われています。
(女性はこれよりもう少し少ない量となります)そして、グリコーゲンは自分の重さの3~5倍の水を一緒に抱えているので、グリコーゲンと水分を併せると肝臓に360~600g、筋肉に400g~2,400g、計760g~3kgが貯蔵されていることになります。

自由に食べていた時は満杯に蓄えられていたグリコーゲン+水。
ダイエットとして、糖質の摂取を絞ることで、体内のグリコーゲン+水が枯渇して、最大で3kgの体重が減るんですね。

ところが、3kg減ったところでグリコーゲン+水は枯渇しているので、これ以上グリコーゲン+水が減ることはなく、ここで体重減少がいったんストップします。

減らすべきは脂肪。注目すべき指標は体脂肪率

ダイエットを決意するきっかけというのは、ベルトの穴が足りなくなったり、スカートがきつくなったり、鏡に映るお腹周りの脂肪を認識したりということが多いのではないでしょうか?

つまり、多くの場合、お腹などに脂肪がついている外見を変えたいとダイエットを決意するのではないかと思います。
(パフォーマンスを気にするガチなアスリートを除く)

ここで重要なのは、外見を変えたい場合、体重だけに注目してダイエットをすると、体重は軽いんだけど何だか締まりのない感じになってしまうことです。

脂肪を減らして筋肉を残すように上手にダイエットしないと、脂肪も筋肉も落ちてしまって、見た目もイマイチだし、代謝が落ちてしまうので、ダイエットをやめて普通に食べるようにしたらあっという間にリバウンドしていまいます。

摂取カロリー<消費カロリーにしているのに痩せないのはなぜ?

さて、食事を減らして、2~3kg減ったところで体重減少がストップすると、摂取カロリー<消費カロリーにしていれば、光合成をしているわけじゃないから、そのうち絶対に痩せるはず!と思って、さらに摂取カロリーを減らしたくなるのは私だけではないと思います。

ところが、摂取カロリーを極端に減らすと、身体が防御状態になって、体温を下げ、エネルギー食いの筋肉を分解して活動エネルギーとし、どんどん省エネな身体になっていきます
一方、大事なエネルギー源の脂肪はなるべく取っておかないといけないので、脂肪の分解は後回しに

つまり、摂取カロリー<消費カロリーと思っていても、極端に少ない摂取カロリーに合わせて、消費カロリーも極端に少なくなっているので、思ったように痩せないのです。

極端に少ない摂取カロリーとは基礎代謝(動かずじっとしているだけで使う、心臓や呼吸、体温など生きるために消費する最小カロリー)程度と考えてください。

つまり、摂取カロリーを基礎代謝以下にしては絶対にダメ!

食べる量が少ないとビタミン・ミネラルが不足する

また、食べる量が少ないと、エネルギー以外に、ビタミン・ミネラルなどの微量元素も不足してきます。このため、生きるのに今すぐ必要なわけではない皮膚や爪や髪の毛に回る栄養を節約して、心臓を動かしたり、血液を作ったり回したりする方に回します。

すると、お肌はカサカサ、爪はボロボロ、髪も艶を失って、野良犬みたいな感じになってきちゃいます。
(最近は野良犬を見かけることはないのでイメージが沸かないか??)

このような状態だと、身体はカロリーに加えてビタミン・ミネラルなどの栄養素を求めて飢餓状態になっているので、食欲の爆発を招いたりすることも

それをサプリメントで補おうとしても、マルチビタミン・マルチミネラルに含まれない様々な微量元素は摂れないので、基本は普通の食品を食べないと何かが足りなくなります

ここでも同じ結論、摂取カロリーを基礎代謝以下にしては絶対にダメ!

基礎代謝まで食事を減らすことによって減らせる脂肪の量

では、摂取カロリーを基礎代謝ギリギリまで減らした場合、どの位ダイエットできるのでしょうか。

食事だけで痩せようという活動量の低い70kgの男性を想定すると、この男性の基礎代謝は1,642kcaです。
一方、この男性が体重を維持するのに必要な(=現在食べていると思われる)カロリーは推定2,359kcalです。

とすると、現在の摂取カロリーから、毎日717kcal(2,359kcal-1,614kcal)減らして良いことになります。
脂肪は1kgあたり7,000kcalなので、この活動量の低い70kgの男性場合、ひと月で3.5kg(745kcal×30日÷7,000kcal)脂肪を減らせる計算です。

同様の計算で体重60kgの活動量の低い女性を想定すると、2.8kg脂肪を減らせます。

体重70kgの男性で3.2kg、体重60kgの女性で2.8kg。
たったこれだけかと思われるかもしれませんが、筋肉や筋グリコーゲン・水分をなるべく減らさず、脂肪だけを減らしたい場合、これくらいが限度と思われます。

基礎代謝ギリギリの食事って病院食より少ないです。そこまで食事を減らしてもひと月に落とせる体重はたったこれだけ。こんなに頑張っても体重の変動幅に紛れて成果が出てるのかどうかわからないレベルというのは相当意思が強い人でないと難しいかも。。。

(男性)身体活動量の低い40歳男性を想定。エネルギー必要量はBMI18.5~24.9で想定されている。

体重(kg)現状維持の
摂取カロリー(a)
基礎代謝(b)食事で減らしていい
カロリー(c)
ひと月に減らせる
脂肪(d)
903,0331,8831,1504.9
802,6961,7499474.1
702,3591,6147453.2
602,0221,4815412.3
(c)=(a)-(b)
(d)=(c)*30/7,000
https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228736
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

(女性)身体活動量の低い40歳女性を想定。エネルギー必要量はBMI18.5~24.9で想定されている。

体重(kg)現状維持の
摂取カロリー(A)
基礎代謝(B)食事で減らしていい
カロリー(c)
ひと月に減らせる
脂肪(d)
702,3031,4178863.8
601,9741,3256492.8
501,6451,2324131.8
(c)=(a)-(b)
(d)=(c)*30/7,000
https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228736
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

運動せずに食べる量を減らすだけでは、脂肪だけを減らすことはできない

さて、ここでこの二人が、運動をしないで、体重を10%、なるべく早く減らしたいと決意したとします。
70kgの男性なら7kg、60kgの女性なら6kgを減らす目標です。
現在の基礎代謝が男性で1,614kcal、女性で1,325kcalなので、毎日これだけしか食べないことにします。

さて、減る体重が全て1kgあたり7,000kcalある脂肪だと仮定すると、男性が63kgになるのは80日後、女性が54kgになるのは78日後です。
(体重が減ると基礎代謝も減るけど食べる量は最初の基礎代謝なので徐々に減るスピードが遅くなり、2か月で10%は減らせない。)

ところが、身体は必要ない筋肉を保持する必要はないので、例えもともと全く運動習慣がなく、筋肉が少ない人であっても、体重が減ると、その体重を支えるための筋肉も減ります。

私の過去の経験から、脂肪と筋肉が2:1の割合で減っていくと仮定した場合、筋肉の方が脂肪に比べて減らすのに必要なエネルギーが少ないので、男性が63kgになるのは64日後、女性が54kgになるのは62日後です。
(筋肉は4,000kcalで1kg減る想定)

早く減って嬉しいのですが、男性は減らした7kgの内、2.4kgが、女性は減らした6kgの内2kgが筋肉ということになってしまいます。

運動しないと、ダイエット終了時に食べる量を戻しても、食べられる量はごくわずか。

さて、めでたく目標体重に達したので、減らした体重を維持するために、運動はほとんどしないで、体重を維持するのに必要な分だけ食べることにします。

63kgになった男性で2,123kcal、54kgになった女性で1,777kcalです。

これがどういう食事かというと、入院時の病院食にちょっと毛の生えた位です。
もちろん、お酒を飲んだりおやつを食べたりしたらあっという間にカロリーオーバーになってしまいます。

リバウンドの原因ですね。

身体活動レベルを上げると維持期にどのくらい食べられるのか

さて、ここまでの計算は、身体活動レベルがⅠ(低い)人の場合を想定していました。
そのほかの身体活動レベルとして、Ⅱ(ふつう)とⅢ(高い)があります。

身体活動レベル日常生活の内容
Ⅰ(低い)生活の大部分が座位で、静的な活動が中心
Ⅱ(ふつう)職場内での移動や立位での作業・接客等、通勤・買い物での歩行、家事、軽いスポーツ、のいずれかを含む
Ⅲ(高い)移動や立位の多い仕事への従事者、あるいは、スポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている

体重1kgあたりの推定エネルギー必要量

  男性 女性
年齢 Ⅰ(低い) Ⅱ(普通) Ⅲ(高い) Ⅰ(低い) Ⅱ(普通) Ⅲ(高い)
18-29 35.5 41.5 47.4 33.2 38.7 44.2
30-49 33.7 39.3 44.9 32.9 38.4 43.9
50-64 32.7 38.2 43.6 31.1 36.2 41.4
65-74 31.3 36.7 42.1 30 35.2 40.4
75以上 30.1 35.5   29 34.2  

身体活動レベルがⅢ(高い)場合、体重63kgの40歳の男性が体重を維持するために食べていいのは44.9kcal×63kg=2,827kcal、54kgの40歳の女性で2,371kcalにもなります。

さっきの活動レベル1の63kgの男性の2,123kcal、54kgの女性の1,777kcalですとは全然違いますね!

これだけ食べられれば、多少揚げ物を食べても、お酒を飲んでも、ケーキを食べても大丈夫!
豊かな食生活が送れます。
「余暇における活発な運動習慣」大事!!

動かずに食べない生活をしていると動けなくなる

人間は順応力が高いので、動かずに食べない生活をしていると、動くために必要な能力(筋力や神経)がどんどん衰えてしまいます

まだ若いから関係ないと思っていると意外に早く、30歳~40歳代から身体が衰えてきた兆候が表れるものです。

実際、私も子供が生まれてから自転車を始めるまでの間の30歳台後半では、何もない平坦なところを歩いていてつまずく(=脚が上がっていない)、歩く速度が非常に遅くなった、立ったままストッキングを履けないなどの症状がありました

これらの症状は自転車に乗るようになって、現在はすっかりなくなりました!早いうちから運動をして、たくさん食べる習慣をつけましょう。


やはり、健康の基本は、食事・運動・休養ですね。
人間の身体は運動量が豊富だった狩猟民族時代に基礎が作られているので、運動なくして、タンパク質・炭水化物・脂質・ビタミン・食物繊維など必要な栄養素を必要量含んだ適切な食事を取ることは難しいです。

栄養素云々もさることながら、体型を維持しながら好きなものを好きなように飲み食いするためにも、運動は必須です。

運動は嫌いとか、面倒とかいう気持ちは非常によくわかりますが、是非自分に合った、手軽に継続できる運動を毎日の生活に取り入れて、美味しい食事を楽しんで下さい。

もう手が離れつつある娘二人と夫と暮らしています。残業あり、出張ありのフルタイムのお仕事。ダイエット目的で自転車に乗って得られたものは痩せただけではありませんでした。

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