タンパク質をおいしく食べるための低温調理

低温調理器と料理 食事/栄養
革命的なタンパク質の食べ方が家庭にやってきた!

ダイエットの基本は次のとおりです。

ダイエットの基本
  1. 消費カロリー>摂取カロリー
  2. PFC(タンパク質、脂質、糖質)をバランスよく。特にタンパク質は体重kgの2倍gを確保。
  3. ビタミン・ミネラルの微量元素、食物繊維、水分の確保を怠らない

タンパク質は体重kgの2倍g(体重60kgなら120g)食べたいところですが、カロリーは控えめにしたい
ちなみに、赤身の牛肉を100g食べてもタンパク質は21gなのでお間違いなく(カロリーは132kcal)!

カロリーオーバーにならないでタンパク質量を確保するためには、納豆などの大豆製品に加えて、脂身の少ないお肉を揚げたり炒めたりしないで食べるのがいいのですが、毎日サラダチキン(100gのサラダチキン1つでタンパク質25g摂れて125kcal位)ばかり食べるのは飽きちゃいますよね。

出始めた頃は数万円していた低温調理器も最近では数千円で買えるようになったので、タンパク質(特にお肉)をおいしく食べるため、低温調理器を買ってみたら、これは揚げる・炒める・焼く・煮るなど従来の加熱方法に新たな加熱方法が一つ加わった!と思う程の感動。そこで、低温調理がなぜおいしいのか、何に気を付けたらいいのか、料理を作ってみておいしかった食材などを紹介します。

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肉を加熱して食べるのはなぜ?

通常、お肉は魚の刺身以外は生食することは少なく、通常は焼く・煮るなどの加熱をして食べます。
これは、加熱をすることによって食中毒の原因となる細菌が死滅して安全に食べることができるようになるからです。

食中毒菌は生きている動物の体内に普通にいるので、新鮮なお肉にも普通にいます。
まずは、お肉を安全に食べるために加熱殺菌が必須であると考える必要があります

次に、美味しさの追求がきます。

熱により、糖とアミノ酸が結合して茶色くなるメイラード反応が起こり、香ばしさや旨味が生じます。
お肉の焦げ目の他、トースト、ホットケーキなど、加熱して茶色くなる反応はほぼ全部メイラード反応です。

一方、お肉は加熱するとタンパク質が変性して繊維状になり硬くなります。この時、タンパク質の中にあっていた水分が分離してきます。また、水分と一緒にうまみ成分、エキス分、脂肪も溶け出します(いわゆる肉汁)。
皆さん、焼くと肉が縮むのを実感していると思いますが、これは、肉を加熱すると、この水分と肉汁が肉の中から出ていくからです。

肉汁をうまく肉の中に封じ込めるように調理するとジューシーな肉料理となり、焦げ目をつけてメイラード反応を起こさせると固くなるけど香ばしくなる。このバランスでおいしい肉料理ができるというわけです。

低温調理とは

今はやりの定温調理器は、水温センサーとヒーターと水を回すためのモーターが入った器具で、鍋などの容器の水の温度を40℃~95℃で一定の温度に保つ道具です。

低温調理器で作り出す一定の温度のお湯の中に、ビニール袋に入れた食材を沈め、目標の温度で中心部までじっくりと加熱して、肉汁を出さない温度で、殺菌はしつつ、肉のうまみ成分を肉の中に保ったまま食べられるようにするというのが低温調理です。
85℃~95℃などの高温を使うこともあるので、湯せん料理と言った方が正しそうですが。。

温度による肉の変化

お肉を校正するタンパク質は温度によって性質が変わっていきます。
なお、ゆで卵が冷めても生卵に戻らないように、一度温度によって性質が変わったタンパク質は元には戻りません。

http://www.food-culture.jp/event/regular/190707_onkochishin/report05.htmlをベースに改変

これまでの調理の加熱方法との比較

http://kumamoto.lin.gr.jp/shokuniku/eiyochisiki/henka/niku_chori.htmlをベースに改変

既存の調理法では、肉が最もおいしく調理できる55℃~65℃の中途半端な温度を、殺菌できるほど長時間一定に保つことが難しかったので、一般の家庭では、水の沸点である100℃か、それ以上の温度でしか調理することができませんでした。

しかし、温度センサーとヒーターと水の攪拌機能を備えた低温調理器が出現することによって、肉類の加熱に新たなジャンルが付け加わったと言っても過言ではありません

温度による殺菌効果

タンパク質を美味しくいただく調理法として大変すばらしい低温調理ですが、一方で、加熱調理の大きな目的である殺菌できる温度・時間までの余裕がないので、加熱温度・時間はシビアに管理する必要があります。

厚生労働省によると、食肉による食中毒防止の加熱条件は中心部を75℃で1分としていますが、これと同等な加熱の条件として以下の表の温度・時間が妥当とされています(加熱食肉製品)。また、肉の内部に病原菌が少ない牛塊肉などは特定加熱食肉製品としてもう少し緩い条件でも大丈夫とされています。

https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000365043.pdf
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-a/jigyousya/shokuhin_
kikaku/dl/09.pdf

つまり、ローストビーフのような、肉の中に細菌がいない塊肉は中心温度が55℃・97分(63℃の場合は一瞬でいい)に達すればいいのですが、牛レバー、豚肉など筋肉の中にまで細菌がいる食材は63℃・30分以上の加熱が必要です。
これは肉の中心部の温度であることに注意が必要で、厚さが1cm程度でも加熱時間はこの3倍程度、厚みが増えるにしたがって加熱時間を長く取る必要があります。

ネットを検索すると、その温度と時間で大丈夫?というレシピが出てきますので、参考にするレシピは必ず安全性を考慮しているはずである、書籍か低温調理器の公式レシピサイトを参考にしてください

ポイント:
  • 豚肉・鶏肉は中心温度で63℃30分以上、牛塊肉は中心温度で55℃97分以上必要。
  • 加熱時間は厚みにより増えます。厚さ1cm程度でも3倍は必要です。
  • これ以下のレシピは参考にしてはダメ!

低温調理のデメリットは意外と手間がかかること

低温調理、美味しくできるのはいいのですが、レシピ通りにやろうとすると意外と手間がかかります
例えば、加熱する前に下味をつけて1時間~一晩放置するとか、加熱が終わったらすぐに取り出して冷やすとか、加熱後に調味料を加えて味をなじませた後に表面を焼くとか(←加熱が終わったものを放置できない)。

今は在宅や緊急事態宣言で家にいる時間が長いし、娘達の手も離れているので楽しく料理できていますが、仕事や家事・育児が超絶忙しかった時期に重宝していた、「切った材料を鍋に放り込んで加熱してそのまま放置して煮物が完成!」する圧力鍋みたいな手軽さはありません

一方、調理しても低温調理器も鍋も汚れず、食品を入れていたビニール袋を捨てればいいだけなのは大変すばらしいです。

購入したもの

レシピ本

まずはレシピ本を買って勉強しました。

低温調理器

私が買ったのはこれ。

決め手は1,000wのヒーターで早く水温が上がりそうということと、お安いものの中では長さが30cmで、調べた中では最も短かったこと。これでも意外に大きいです。これ以上大きいとしまいにくいな。。

他と使い比べたわけではありませんが、今のところ、十分普通に機能していて満足です。

ビニール袋

低温調理は別名真空調理と言われた時期もあり、ziplocのような袋に入れて、なるべく空気を抜いて調理するのが良いと言われています。

しかし、私が参考にしたレシピ本はビニール袋を水に沈めれば自然と空気が抜けるのでそれでよいと書かれていて、確かに、ビニール袋で全然困りません。殺菌に不安がある低温調理ではziplocの使いまわしはしたくないのですが、ziplocを1回で捨てるのはもったいないので安いビニール袋が使えるのはありがたいです。

使用するビニール袋は素材が高密度ポリエチレンのものを選んでください
湯せん可能・低温調理可能と書いてあるものを選べば間違いがないです。
比較的大きな塊肉も入る大きさはこれ↓

ちなみに、手持ちのポリ袋も湯せん料理に対応していました。こちらはサイズが小さいので、少量を調理するときに使用しています。というか、むしろこっちをメインに使っています。。

既に持っていたもの:トング

レシピ本に準備すると良いものに挙げられていました。手持ちのものを使えるので買っていません。
材料を沈めるために使うと便利ですが、菜箸でも代用できそう。

迷っているもの:芯温計

中心温度が設定温度以上になってから上の表の時間経過するまで加熱するのが安全なので、食品の中心温度を計れる温度計があると安心です。
が、お湯の温度が目的の温度になったところで食材を入れ、もう一度レシピ本通りの温度と時間をセットすればほぼ大丈夫と思われます。
※レシピ本には厚さによる加熱時間の調整方法が書いてあります

というわけで、あったほうが安心だけど、なくてもいいかなと思って迷っています。

買わなかったもの:容器

鶏むね肉1枚みたいに少量を加熱するときは内径16cm、深さ10cmのホーローの鍋で調理しています。
一方、大きな塊肉でローストビーフを作るようなときは内径21cm、深さ14cmの7層ステンレスの鍋で調理しています。鍋はペラペラのアルミではなく、なるべく厚みのあるものがいいと思います。

また、私が買った低温調理器は最低水深が7cm、クリップの位置の関係で8cm以上の深さがないとクリップを挟めません。容器の深さは少なくとも10cmはあったほうが良さそうです。

水量が少ない方が早く水温が上がるので、できるだけ小さい容器でやった方が効率的と思います。

最初は低温調理用にコンテナを買おうかと思いましたが、手持ちの鍋で十分ということがわかったので、余計なものを買わずに済んで良かったです。

加熱用の水が蒸発しないよう、長時間加熱する時にはラップで蓋をしています。

作っておいしかったもの

以下、低温調理器を買ってから作ったものをご紹介します。

Aランク:これまでの調理法では考えられないくらいおいしかったです!

鶏レバー

レバーの前処理が面倒でしたが、これまで食べた鶏レバーの常識を覆すトロっとした滑らかなレバーの食感!!!63℃、45分です。
前日から牛乳に漬けるなど、しっかり前処理をしたおかげで臭みも全くなく、別次元の食べ物でした。
レバーの調理は低温調理が絶品だと思います!レバニラも作りましたが、過去食べたレバニラで一番美味しかったです。

牡蠣のオイル煮

86℃6分という設定で牡蠣をオイルに漬けて調理しました。
全く身が縮まないでふっくらとしていて、これまで食べた加熱した牡蠣料理の中で最高に美味しかったです!

なお、牡蠣にあたるのは、牡蠣がノロウイルスを持っているからですが、牡蠣の食中毒予防のためには中心温度が85℃90秒の加熱が必要とされています。レシピの指定時間、しっかり安全性も見ていますね。

ラム肉のロースト

牛、豚、鶏と低温調理をしてみましたが、ダントツでおいしかったのがラム肉。
58℃2時間の加熱時間、塩を振って15分寝かせ、最後に表面に焼き色を付けることで、過去に食べたどんなラムステーキより美味しくできました。

サーモンのミ・キュイ

ミ・キュイは「半分火が通った」というフランス語です。
生でも食べられるお刺身用のサーモンを、45度1時間加熱して、生魚の滑らかな食感と活性化したタンパク質のうま味が味わえます。お刺身とは一段違った美味しさ。


Bランク:これまでの調理法と同等だけどテクニックいらずで、簡単にできました。

ローストビーフ

低温調理器を買ってみたらまず作ってみたいのがローストビーフ。
普通の加熱だと表面からグラデーションに火が通るところ、低温調理だと赤身の部分が均質でおいしい!

もちろん、上手な人が作ればいつもおいしくできるんでしょうが、低温調理器を使って58℃90分、調理後に塩を振って15分なじませ、最後にさっと表面をあぶるだけだと、テクニックいらずでいつでもおいしくできると思いました。

サラダチキン

低温調理器を買ってみたら作ってみたいものの一つがサラダチキンでしょう。
サラダチキン、電子レンジ、沸騰したお湯に入れて余熱調理など、いろいろな方法で作れますが、低温調理器で作ると表面から中心まで加熱しすぎずにしっとりとできます。

ただ、電子レンジや沸騰したお湯に入れての余熱調理などはすぐにできるのに対して、レシピ通りにつくると30分~1時間下味付けて、63~64℃で90分、調理後冷水で冷やすという手間がかかります。

夫は低温調理のサラダチキンの方が圧倒的に美味しいと言ってくれますが、手間と美味しさのトレードオフだなぁ。。

ローストポーク

塊肉料理ということで、ローストポークも作ってみました。
こちらは比較的低温・短時間で良い牛肉とは違い、美味しくお肉が料理できるギリギリの64℃で2時間30分加熱しました。

豚肉としてこの食感で大丈夫なのか?と心配になる感じですが、たぶん、大丈夫なんでしょう。。。
美味しいのはおいしいのですが、豚肉はもう少し火が通っているものの方が好みかも。。。



低温調理は、お肉の調理法として新しい分野を切り開いたとも言える、革新的な調理法と思います!特にビタミン・ミネラルなど微量元素豊富で最強のヘルシー食品である鶏レバーがこんなに美味しく食べられるのは素晴らしい。

予想に反して、普通の牛・豚・鶏より、レバー、魚介類、ラムが美味しかったのは嬉しい驚きでした。
低温調理器がお安く手に入るようになったので、加熱温度と加熱時間に気を付けて、安全に美味しくタンパク質を食べましょう!!

もう手が離れつつある娘二人と夫と暮らしています。残業あり、出張ありのフルタイムのお仕事。ダイエット目的で自転車に乗って得られたものは痩せただけではありませんでした。

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