楽しく自転車を漕いだ後のビール、最高ですよね!
美味しくお酒を飲むために自転車に乗っているという人も多いのでは?
ご飯をおいしく食べられたり、会話の潤滑油なったり、ちょっと酔っぱらってリラックス効果があったりと、お酒にはいい面もあるのですが、アルコールは飲んでいるとだんだん量が増えてしまうなどの罠が隠されています。
前回、健康に悪い食品として塩分をご紹介しましたが、今回は、健康に悪い食品その2では、アルコールにまつわる疑問に答えます。
アルコールは少量でも問題なの?
前回ご紹介した健康寿命を短くしている危険因子のうち、量の過不足が問題となる、塩分、身体活動、果物と違って、喫煙と飲酒は量の問題ではなく、摂取そのものが危険因子とされています。
え、少量の飲酒は健康にいいはずでは?と思った方。
それは正解でもあり、不正解でもあります。
実はアルコールの影響には、①量とともに直線的に増える悪影響、②量が少ないうちは悪影響は少ないけど飲酒量が増えると急激に悪影響が高まるもの、③少量の飲酒では良い影響があるものの3種類があります。
これらが組み合わさって、総死亡でみると男女とも1日平均23g未満(日本酒1合未満)で最もリスクが低くなっています。このことから、日本では、1日20g前後のアルコールであれば健康に大きな悪影響がない、「節度ある適度な飲酒」とされています。
アルコールって何が悪いの?
アルコールの問題として、アルコール依存症や酒乱、飲酒運転を思い浮かべる人は多いと思います。
そして、多くの人は、自分はそのようなことはないから大丈夫と思っているかもしれません。
しかし、さすが、健康に悪影響を与える因子の6位に上がってくるアルコール、さまざまな健康障害を引き起こします。
寝付くのにアルコールが必要?
アルコールは寝付くまでの時間を短縮させます。
この作用を利用し、お酒を飲まないと寝付けないからとお酒を飲んでいる人もいるのではないでしょうか。
私の場合、深酒をすると、気を失うように眠れるんですが、夜中に目覚めると天井がグルグル回って、心臓はバクバクいってて、全然身体が休めていないのがわかります。
また、活動量計を付けて就寝時の心拍を取っていると、お酒を飲みすぎた夜は、通常より睡眠時の心拍が10拍以上高くなって驚きます。
大量に飲まなくても、寝る1時間前に飲んだアルコールは、少量でも睡眠の後半部分に悪影響を及ぼすことが知られています。つまり、寝つきは良いのですが、夜中に目覚めて、その後なかなか眠れないという現象が起こります。心当たりがある人も多いのでは?
よく眠るためには、適度な運動をするなど、アルコールとは別の解決方法を探しましょう。
酔うほど飲まないから平気?
お酒に強い人と弱い人がいるのは良く知られていますね。
それにはいろいろな要因があります。
持っている酵素の型が違う
これは、アセトアルデヒドを分解する酵素のタイプが異なることで決まります。
※アセトアルデヒド=アルコールが分解されてできる毒素
2と3のタイプはお酒を飲むとすぐに頭痛がしたり気分が悪くなったりするため、習慣的大量飲酒に結びつくことはほとんどありません。
一方普通の1のタイプの人は、適度なお酒はリラックス効果が得られたり、気分が良くなったりします。また、同じ量のアルコールではその効果が得られなくなってくるため、だんだんアルコールの量が増えていく危険性をはらんでいます。
肝臓の大きさが違う
アルコールは主に肝臓で分解されます。
アルコール→アセトアルデヒド→酢酸
このため、肝臓が大きいほどアルコールの分解が早くなります。
身体の大きい人は小さい人より、一般的には男性は女性よりアルコールの分解が早いのはこのためです。
脳がアルコール耐性を獲得している
しばらく禁酒した後にお酒に弱くなった!と思ったことがある人もいるかもしれません。
また、お酒は毎日飲んでいると、自然と量が増えてくるという経験をしたことがある人もいるのでは?
実は、飲酒を続けると、脳の細胞が変化して、アルコールへの感受性が下がり、同じアルコールの量でも酔わなくなってくるのです。これを「脳がアルコールの耐性を獲得した」といいます。
このため、同じ効果を得ようとすると、だんだんお酒の量が増えてしまいます。
酔わない人ほど危険
脳がアルコール耐性を獲得し、酔わなくなっても、体内に取り込まれるアルコールの量やそれが分解されてできるアセトアルデヒドの量は変わらないので、酔わないからといって、肝硬変など、身体への悪影響の度合いが減るわけではありません。
また、耐性の獲得→精神依存→肉体依存と、耐性の獲得はアルコール依存症への第1歩です。
飲んでも酔わないから酔うまで飲むというのは、どんどんアルコール耐性を付けているのと同じです。
アルコールに強い人は、自らの強い意志でアルコールを増やさないよう努力しましょう。
どれくらい飲んでいると危ないの?
厚生労働省の作成している「健康日本21」では、多量飲酒の目安としてアルコールで1日平均60gとしています。160gの設定根拠は見つけられませんでした
酒の種類(基準%) | 酒の量 | だいたいの目安 |
---|---|---|
ビール・発泡酒(5%) | 1.5L | 中ビンまたはロング缶3本 |
チュウハイ(7%) | 1L | 350mL缶3本 |
焼酎(25%) | 300mL | – |
日本酒(15%) | 240mL | 3合 |
ウィスキー・ジンなど(40%) | 90mL | シングル6杯 |
ワイン(12%) | 600mL | ワインボトル1本弱 |
350mlの酎ハイ3本位なら毎日飲んでる人が結構いそうですね。。
ちなみに、最近出ている12%のストロング酎ハイは500ml缶を1本飲んだだけでアルコール60gです。。まさにアル中製造機。。。
「健康日本21」では、現状成人男性の4.1%、成人女性の0.3%居る多量飲酒者を減らしていくことが目標であるとされています。1日平均60gのアルコールを飲む人は、行動を改善されるべき人とみなされているのです。2https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html#A56
節度ある適度な飲酒とは?
先に書いたように、日本では、総死亡でみると男女とも1日平均23g未満で最もリスクが低くなっています。このことから、日本では、1日平均20g前後のアルコールであれば健康に大きな悪影響がない、「節度ある適度な飲酒」とされています。
酒の種類(基準%) | 酒の量 | だいたいの目安 |
---|---|---|
ビール・発泡酒(5%) | 500mL | 中ビンまたはロング缶1本 |
チュウハイ(7%) | 360mL | 350mL缶1本 |
焼酎(25%) | 100mL | – |
日本酒(15%) | 160mL | 1合 |
ウィスキー・ジンなど(40%) | 30mL | シングル2杯 |
ワイン(12%) | 200mL | ワイングラス2杯弱(ボトル1/4) |
アルコールを増やさないためには?
アルコールは自然に任せていると量が増えていくものだと認識しましょう。
それは、脳が耐性を獲得して、同じ効果を得られるようになるためには多くのアルコールが必要となってくるからです。
自分が飲んでいいお酒の量を決めましょう。
この時、お酒の種類(アルコール濃度)と量を同時に決めることが重要です。
なぜなら、「お酒は1本だけ」とあいまいに決めると、5%のビール→7%の酎ハイ→9%の酎ハイ→12%の酎ハイと、どんどんアルコール濃度を高くして1本に収めようとしてしまうからです。
また、1本も350ml→500ml→大瓶などとどんどん量が増えていきます。
毎日飲んでよい適度なアルコール量は20gです。
じゃぁビール500mlを1本までにしておくかと思えた方は、そのままお酒の量を増やさないように気を付けましょう。既定の量を飲んだら炭酸水に切り替えるのがお勧めです。
今日は多めに飲みたいなと、500mlを2本飲んでしまったら、次の日に飲まなければ平均で20gはキープできます。
これじゃ酔わないよ!と思ったあなた。
「毎日酔う=脳の耐性を付けている」ですから、毎日酔うまで飲んではいけないのです。
酔わないところで止めるなら、どこで止めても同じなので、酎ハイ350mlを一缶飲んだ後は炭酸水でも一緒です。
それじゃ嫌だとか、酒でも飲まなきゃやってられないと思ったなら、それはアルコールへの精神依存です。
まずは問題を認識し、真剣にアルコール量のコントロールをした方がいいです。
本当にアルコールへの精神依存、肉体依存が進んでしまった人へのアドバイスは私の経験からはできません。
アルコール依存症の治療も含めて、都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターまたは地域の保健所に相談するとよいようです。
アルコールは、放っておくと脳が耐性を獲得し、自然に量が増えてきて依存症になり、健康に悪影響を及ぼす、非常に危険な物質です。
もし、アルコールをこれから食品として登録しようとしたら絶対に登録できません。
おいしく食事を食べたり、リラックスしたり、また、コミュニケーションの手段として楽しく楽しむために、お酒にコントロールされず、日々、自らお酒をコントロールしていきましょう。